アライグマはバケツ大好き？―アライグマ観察編3

水辺を好み水棲生物を食べると言われるアライグマですが、実際どの程度興味を示すのか実験してみました。

設置したバケツに興味を示すアライグマ

アライグマは水辺が大好き

アライグマと名の付く通り、水辺が大好きな生き物です。そのため水辺に住む生き物も良く食べると言われています。そこで近所の用水路に住む生き物を捕獲してバケツに入れ、実際にアライグマがどの程度興味を示すか実験してみました。

まずはバケツの準備から

近所の用水路

アライグマは甲殻類が好物と言われているので、ザリガニを目当てに近所の用水路で探してみました。そこそこ車や人も通るので、たまに「何を捕っているんだい？」などとおじいさんやおばあさんに話かけられました。いい歳の人間が用水路で網を振るっているのですから、ちょっと怪しい人物です。

観察用に用意した
ザリガニ・エビ・ドジョウ

そして実際に捕れたのが、バケツに入ったザリガニ・エビ・ドジョウです。本当はもっと大きいザリガニを探していたのですが、1～2匹見つけたものの久々のザリガニすくいで逃げられてしまいました。その代り小型のザリガニを多数確保出来ました。エビは狙っていなかったのですが、スジエビと思われる小エビが大量にいたので、そちらも捕まえてきました。ドジョウも狙っていなかったのですが、泥ごとすくったところ2匹ほど捕まえることが出来たので、せっかくなので入れてみました。

この生き物達を捕まえた用水路は、タヌキやアライグマをよく見かける場所です。これらにとても興味を示すなら、普段も狙って食べている可能性が高いはずです。

観察用バケツをセッティング

バケツに入れる餌も捕まえることが出来たので、後はセッティングするだけです。いつもカメラを設置している、アライグマとタヌキが頻繁に表れる場所に置いておきます。興味を示しやすいように、ドッグフードも撒いておきました。

やっぱりアライグマは洗いたい？

最初のアライグマはバケツを無視

18:20頃に最初のアライグマがやってきます。10月に実験したので、辺りは真っ暗です。このアライグマはバケツの前を通ったりで、バケツのことを認識しているはずですが、周囲のドッグフードだけにしか興味を示しませんでした。

興味津々でバケツに手を入れる

約一時間後の19:30頃にまたアライグマが現れました。今度はとても興味を示しています。手探りで捕まえています。暗い中手元は殆ど見えないはずなので、手の感覚だけを頼りに捕まえているようです。

2頭とも興味を示す

何度かアライグマが1頭現れてはバケツに興味を示していましたが、日付も変わって1:30頃には2頭のアライグマが現れました。2頭とも興味を示しています。

空っぽになっても探している

更に30分後の2:00頃の映像です。バケツは空になっているのに、必死に探す様子が映っています。バケツのことが相当気に入ったようです。バケツがきゅっきゅ鳴るぐらい、こすっていました。少しすると空なのに気づいて、去っていきました。

字幕付きの動画も作ったので、動きはこちらのほうがよく分かると思います。

翌日のバケツ
すっかり空になっている

上の写真は翌日のバケツの様子です。すっかり空になっています。もともと泥はほとんど入っていなかったので、アライグマが入れたものです。

アライグマは水辺を中心に生活する生き物なだけあって、やはりエビやドジョウが大好きなようです。

タヌキは興味なし？

田んぼのタヌキの足跡

6月ごろの田んぼの足跡が観察しやすい時期だと、アライグマのほかにタヌキの足跡もよく観察することが出来ました。行動圏がアライグマとタヌキで似ていたので、バケツにも興味を示すのではないかと予想していました。

タヌキとバケツ

しかし、結果はバケツに興味を示さないというものでした。この結果から考えられるのは、「田んぼの中のエビやドジョウを食べているのではなく、稲についた虫を食べている」「他に食べ物が無いからエビやドジョウを食べている」の二つがまず考えられます。

また、雑食動物は時期によって、主食を変えたりすることが知られています。なので季節的に食べたいものが変わるということも考えられます。これについては、アライグマについても一緒に調べる必要がありそうです。