投稿

4月, 2020の投稿を表示しています

アムールハリネズミー日本の外来生物たち

静岡県や神奈川県に生息するアムールハリネズミからペットのハリネズミまで、外来生物としてのハリネズミを紹介します。 日本で飼えるハリネズミの種類は少ない 最近ペットとしても紹介されることの多いハリネズミですが、日本で流通しているハリネズミは基本的にヨツユビハリネズミだけとなっています。これは見た目が他のハリネズミと比べて特に愛くるしいというのもありますが、殆どのハリネズミが未判定外来生物や特定外来生物に指定されているからです。 ヨツユビハリネズミの仲間は未判定外来生物 ハリネズミの場合種類ごとではなく、属単位というある程度まとまったグループで未判定外来生物に指定されています。指定されているのは、ヨツユビハリネズミを除くアフリカハリネズミ属、オオミミハリネズミ属、メセキヌス属(ダウリアハリネズミ属)となっています。 まず未判定外来生物の説明ですが、特定外来生物と違って繁殖や飼育や販売が規制されるものではありません。しかし、輸入は申請が必要で、その際に日本の生態系に悪影響を及ぼすと判断されると輸入が出来なくなります。なので指定されると輸入が難しくなります。 つまり未判定外来生物でも、ペットショップなどでの販売や個人で飼うのが規制されるわけではありません。国内で繁殖させたものであれば、ペットショップに流通させることが出来ます。ただ、ペットショップのホームページなどを見るとわかりますが、結構色々な動物が海外輸入に頼っています。また、将来的に特定外来生物に指定される可能性が高いのも、避ける要因かと思います。 そういった事情もあり今も輸入が出来、特に規制が無いヨツユビハリネズミが日本のペット市場では主流となっています。 余談ですが特定外来生物や未特定生物についての知識は結構間違ったものが流れていたりするので、環境省HPのリストで確認することをお勧めします。 ※参考文献 環境省HP「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に基づき規制される生物のリスト【動物】」 ハリネズミ属は全て特定外来生物 4種類居るハリネズミ属は全て、飼育・販売・移動などが原則できない特定外来生物となっています。その中の一種アムールハリネズミが、既に日本に定着しています。今のことろ日本で確認されるのは、アムールハリネズミだけです

ヌートリアー日本の外来生物たち

関西や中国の川でカピバラが居ると間違えられる原因になる生物、ヌートリアを紹介します。 カピバラじゃないよヌートリアだよ ヌートリアはげっ歯目つまりネズミの仲間です。あまり馴染みのない名前だとは思うのですが、中部以西でカピバラが居ると間違えられることのある生き物です。関東で間違えられるのは、マスクラットです。 大きさは資料によって幅がありますが、尻尾を含まない大きさが50~70cm程度で、尻尾が30~40cm程度です。カピバラほどの大きさではありませんが、モルモットよりも一回り以上余裕で大きく、ネズミの仲間でも大型なのが分かります。 元々はカピバラと同じく南米大陸に住む動物です。そのため寒さにはあまり強いほうではありません。外来種としては日本の他、北米大陸やヨーロッパの各地などに生息しています。日本では本州の愛知県から山口県にかけて生息しています。 雑食の動物ではありますが、食べ物は植物性のものが中心です。これはマスクラットと似た傾向です。ヨシなどの水辺に生える植物の茎や根の他、畑のニンジンやサツマイモなども食べます。それに加えて二枚貝なども食べます。 巣もマスクラットと似ていて、水辺に横案穴を掘ってトンネル状の巣を作り暮らします。 1匹のオスに対し2~3頭のメスと一夫多妻で、年間2~3回繁殖することが可能です。一度に5~6頭を産み、一年程度で大人になります。 ※参考文献 国立環境研究所ホームページ 侵入生物データベース、岡山県 「ヌートリア被害対策マニュアル」 ・海から山と水辺に住む ・稲を中心とした被害 ・共存できる外来種なのか? ・2度あったヌートリアブーム 海から山と水辺に住む ヌートリアは穏やかな流れの場所好むとされていますが、日本での生息状況の調査では様々な場所に住みます。海辺から山間部に、ため池や休耕田と水辺であればどこにでも住んでいます。 2018年に山口県で行われた環境DNAを使った調査では、山口県全域の河川で生息している可能性が示されています。また、1976年に発表された岡山県の調査でも、飼育場があったとされている沿岸部から少しづつ山間部に向かって広がっていく様子が報告されています。 ※環境DNA調査とは 生き物が住んでいれば必ず体の一部が環境中

マスクラットー日本の外来生物たち

関東の川でカピバラが居ると間違えられる原因になる生物、マスクラットを紹介します。 カピバラじゃないよマスクラットだよ マスクラットはげっ歯目つまりネズミの仲間です。あまり馴染みのない名前だと思うのですが、関東でカピバラが居ると間違えられることのある生き物です。中部地方以西で間違えられるのは、ヌートリアです。 大きさは尻尾を含まない大きさが30cm程度で、尻尾が20cm程度です。なので尻尾を含まない大きさはモルモットと同じくらいです。 元々はアメリカやカナダと北米大陸に住んでいます。日本を含むロシアやヨーロッパ各国に毛皮用として飼育されてたものが外来種として定着しています。日本での生息地は埼玉・東京・千葉の県境付近の江戸川の水系が中心ですが、最近では埼玉県北東部の久喜市でも目撃されています。 雑食ではあるものの植物食を中心とし、その他に水棲動物も食べます。食べる植物は水辺に生えているものが中心で、ヨシの茎や地下茎など根も食べます。 巣は水辺に作ります。地面に穴を掘って巣とするため、堤防へダメージを与えることが心配されています。 年中繁殖可能ですが、3月と11月がピークです。年に5・6回子供産みます。 ※参考文献 安野翔,角田裕志「埼玉県における特定外来生物マスクラットの生息状況」、国立環境研究所ホームページ 侵入生物データベース ・似てる外来種ヌートリア ・ドイツネズミはパイロットのお供? ・よくわからない影響 ・イギリスでも一時増えたが… ・ヌートリアは増えたのにマスクラットはなぜ? ・駆除するなら今か 似てる外来種ヌートリア 日本に住む外来種で似ているものとしてヌートリアが居ます。確かに遠目で見ると見分けるのが難しいと思いますが、ヌートリアは中部・関西・中国地方にしか住まないので、生息地ではっきり判別することが出来ます。 ドイツネズミはパイロットのお供? 毛皮用で日本に持ち込まれたマスクラットですが、それは太平洋戦争中のパイロットの 服の素材にするためのようです。そしてその時の名前はドイツネズミだったとか。 また、ヌートリアは国策により太平洋戦争前から戦後にかけて養殖が試みられました。戦前・戦中は軍用の毛皮、戦後は毛皮と食用としてです。こう見ると導

アメリカミンクー日本の外来生物たち

ミンクという名で名前だけはお馴染みの、アメリカミンクが日本に既に住んでいることを紹介します。 ミンクといったらあのミンク アメリカミンクはイタチ科の中型動物です。ミンク油や毛皮で有名な、あのミンクです。名前だけはお馴染みの動物です。体重はオスが1kg程度・メスが700g程度で、日本に元々生息するイタチの仲間のテンよりは小さく、イタチよりは大きいといった具合です。 名前の通り元々は北米大陸に住んでいましたが、毛皮用に飼育していたものが逃げ出しました。1950年代には日本全国で飼育が行われ、北海道では1960年ごろには定着が確認されています。今では北海道の広範囲のほか、宮城県・福島県・宮崎県・鹿児島県に、栃木県や群馬県の一部でも確認されています。上に挙げた県以外にも少数が住むようなってると考えるのが自然です。アライグマやハクビシンのように、徐々に生息域を広げていく可能性があります。 雑食で済む環境に応じて食べ物を柔軟に変えることは出来るものの肉食に近いため、様々な動物を捕食し数を減らしてしまうことが心配されています。 ・カワウソ騒動を起こした ・外来種が外来種を食べる ・一部では高密度で生息 ・本当は夜行性なのに昼も活動する ※参考文献 環境省ホームページ 特定外来生物の解説 アメリカミンク 確かにカワウソに似てる姿・生活 毛皮用に様々な色の品種がいますが、日本で野生化しているのはほぼ真っ黒の北米に住む野生種に近い色です。 アメリカミンクは雑食で植物性のものも食べますが、動物性のものを主に食べます。日本に住むアメリカミンクの調査では、水辺に住む動物をよく食べザリガニなどの甲殻類を好み魚やカエルも食べます。その他に虫やネズミに鳥と、陸に住む生き物も食べます。魚などを食べる際は、水深5m程度までで長さ20秒ほど潜水することが出来ます。 水辺に住むのを好み、川・湖・海と水の近くに巣を構えます。木や岩の下や土の巣穴に住みます。実際釧路湿原での目撃例でも、湖の釣り人やカヌーをする人が多く目撃しています。 この特徴からカワウソ騒動も起こしました。栃木県の那須でカワウソが居るらしいという話が出て、調査の結果はアメリカミンクでした。姿がイタチ科で遠目で見れば似ている上に、水棲動物を好んで食べたり水に潜ったするので、動物に詳しくない人