何を食べる?ーアライグマ食べ物編

アライグマは雑食性で、とてもいろいろな物を食べます。そして、アライグマ特有の好みは人間に近く、それが問題を起こしたりもしています。

なんでも食べる雑食

アライグマは何でも食べる雑食性です。雑食の動物全般と傾向として季節による食べる物を変えたりしますが、その傾向も持っています。

雑食にはキツネのような肉食性の強い場合と、タヌキのような草食性が強い場合があります。アライグマはタヌキと似たような性質を持つようです。動物園での餌もリンゴやニンジンのような餌が中心で、タヌキと共通の餌をあげているところもあります。

もう一つ重要なのは、非常に柔軟に食べる物を変えられる点です。同じアライグマによる被害でもこの性質で、地域ごとに食べ物の傾向が大きく異なることが考えられます。

人間に似た嗜好性

捕獲したりする時にも役立つ性質なので覚えて欲しいのは、甘いものや油っぽいものが大好きということです。人間の好きな甘いお菓子や果物、脂っぽい肉はアライグマも大好きです。

そのため捕獲する際の餌としてスナック菓子やアンドーナツにから揚げなど、人間が食べてもおいしい物を使うのが一般的です。ちなみに私は捕獲の際に、かりんとうにピーナッツクリームを塗ってこれでもか!というぐらい甘いものを使ったりもしてました。

アメリカではマシュマロが捕獲の際ポピュラーな餌として使われてますが、これについてはいまいちな感じがしました。好きではあるようですが、そこまでがっつく感じはないようです。


自然の物も何でも食べる

水辺に住むので、アメリカザリガニなどの甲殻類、カエルやイモリのような両性類などはよく食べるとされています。私も実験としてバケツに小さなザリガニやエビを入れてアライグマの反応を見ましたが、とても興味を示していました。甲殻類は好物と言えそうです。アメリカザリガニを食べるときはお尻の身の部分だけ食べるので、これもアライグマが居るかの判別に役立ちます。食べ方も人間っぽいんです。

普段は藪などに住むので昆虫類もよく食べます。自然に生えている果実もよく食べます。そのほかに小型哺乳類や、鳥類やその卵も食べたりしています。

これらの何を食べているかについては、アライグマは消化が早いので胃の内容物を調べるのが中心に調べています。なので、食べている時を見ているわけではないので、生きているものを食べているのか、死骸を食べているのかまでは分かりません。動きの鈍い生き物についてはおそらく生きているものを食べているのでしょう。そうでない生き物についてはどの程度まで生きているものを食べているか、調べる必要があると思います。

畑のもの食べる厄介者

厄介な問題として、畑や果樹園の作物を食べてしまうことです。甘いものが好きなので、特にトウモロコシやブドウといった甘いものが狙われやすいです。手が器用なので、スイカやカボチャも穴をあけて中だけ食べてしまいます。庭先に生えている柿なども注意が必要です。

可食部が固いものより柔らかいもののほうが好きとも言われています。なので梨はほかの物に比べれば、狙われにくいとか。最近だと品種改良で野菜も果物どんどん甘くなっているので、サツマイモの甘い品種が狙われるいる可能性があります。

ただ、農作物をいつも食い荒らしているかというと、そうではないようです。夏場のような野生下でも十分餌がある環境だと、ゴミや農作物は殆ど食べていないようです。餌が乏しくなる時期や、甘くて美味しい果実が実った時に特に狙ってくるのかもしれません。

※参考文献
徳田宝成,岩下明生,小川博,安藤元一 「鎌倉市におけるアライグマ Procyon lotor の夏季食性 」

野生動物を食べつくすか?

食べつくすこともあれば、そうでないこともあるというのが答えだと思います。実際各種データ読むと、珍しい両生類を沢山食べているようだといのもあれば、案外そうでもないようだというデータもあります。

両生類の例で言えば、トウキョウサンショウウオはよく食害にあってるとされ、調査なども進みつつありアライグマが食べているのは間違いないようです。逆に横浜市で捕獲されたアライグマのデータでは、水棲生物の割合は少なく主要な食べ物ではないとしています。アライグマは何でも食べられるので、特に食べやすく気に入ったものがあればどんどん捕食するでしょうし、そうでなければ面倒なので他を狙うでしょう。地域的な違いがかなりあるのかもしれません。

※参考文献
金田 正人, 加藤 卓也 (2011) 「外来生物アライグマに脅かされる爬虫両生類」、高槻 成紀, 久保薗 昌彦, 南 正人 (2017)「横浜市で捕獲されたアライグマの食性分析例」

アライグマを捕まえるのは非常にコストがかかり、なかなか全てを捕まえるのは難しいことです。野生動物の保護という点では、居るから何となく捕まえるではなく、地域ごとにしっかり調べて個別の対策が必要だと思います。トウキョウサンショウウオの例では、捕獲だけでなく防護ネットなどが併用されています。これによりかなり産卵数が改善されたとしています。

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