どんな病気を持ってる?ーアライグマ身近な感染症編
アライグマが媒介する可能性のある病気は様々ありますが、誤解されているケースがよく見られます。過剰に考えることも過小に考えることも、感染症対策としては不適切だと思います。この記事では環境省が発表している「アライグマ防除の手引き」に記載されている中で、アライグマが持っていて人が感染する可能性は相対的に高いものの、万が一発症してもある程度危険性が低いものを中心に紹介します。
とても重要な問題なため、出来るだけ誤りの無い用に記述したつもりです。もし間違いがあった場合は、ご指摘頂けると助かります。また、これらの病気の感染が心配な場合は、医師にご相談ください。
とても重要な問題なため、出来るだけ誤りの無い用に記述したつもりです。もし間違いがあった場合は、ご指摘頂けると助かります。また、これらの病気の感染が心配な場合は、医師にご相談ください。
これらの病気は野生動物なら持っている
これから紹介する病気の多くは狂犬病やアライグマ回線虫症と違い、タヌキ・キツネ・ハクビシンなど身近な動物なら持っている可能性があるものです。アライグマだけの病気ととらえず、他の動物でも同じように危険性があると考えてください。
特に注意が呼びかけられてる「レプトスピラ症・アライグマ糞線虫症」を詳しく解説し、その他にもアライグマで感染が確認されているものを簡単に紹介します。
レプトスピラ症
この病気は人畜共通感染症と呼ばれるタイプのもので、ヒト・イヌ・ウシなどの家畜からネズミやアライグマのような野生動物まで幅広く感染する病気です。原因は病原性レプトスピラという細菌によるものです。この細菌が感染すると腎臓に保菌され、腎臓系に関する症状が現れます。そして保菌している動物の尿により水・土壌が汚染されることで、粘膜や皮膚から新たな感染が発生します。抗生物質を使用しての治療となります。関東以南で散発的は発生が見られ、特に沖縄地方での発生が多いです。東南アジアなど、海外では流行している地域もあります。
感染する動物によってや、同じ動物に感染する菌でもいくつか種類があります。大阪・兵庫で犬とアライグマが保菌する型を調査してデータがありますが、今のところ大きな相関関係はありませんでした。アライグマから他の種への感染は今のところ大きな問題ではなさそうすが、生息が拡大することで今後もそう言えるかは不明なところです。
アライグマに限らず野生動物の尿で汚染されているような場所に注意が必要です。ゴーグルや手袋などで皮膚を保護することや、ワクチンを打つことが重要です。飼育している犬、特に外飼している場合はワクチンを打つほうが良いでしょう。人間用のワクチンもあるので、海外に行く場合や職種によって接種の検討が必要です。ただし、ワクチンは特定の型にしか効かないので、レプトスピラ症のワクチンを打ったら何でも安心ということではないので、そこも注意が必要です。
※参考文献
齋藤 光正、Sharon Y. A. M. Villanueva、柳原 保武、吉田 眞一 (2014) 「レプトスピラ感染症 ~ワイル病病原体発見から百年~」・和田優子、 藤闢由香、 前田 健、 佐藤 宏、 横山真弓、宇仁茂彦、 水野拓也、 奥田 優 (2009)「大阪府および兵庫県の2地域における野生アライグマと犬のレプトスピラ抗体保有状況調査」、国立感染症研究所HP
アライグマ糞線虫症
この病気は動物の糞に含まれる寄生虫が原因の病気です。また、宿主の種類によって感染する相手も変わってきます。人に感染する種としては、人糞線虫・乳頭糞線虫・ブタ糞線虫・ウマ糞線虫が知られています。
アライグマ糞線虫がどう人に影響を及ぼすかの資料がなかったため、これ以下の感染や治療については一般な糞線虫症の例として参考にしてください。
この寄生虫は糞によって広がります。糞に含まれる幼虫が足などの皮膚から侵入し、血液やリンパ液に入ります。そこから心臓や肺など様々な臓器を経て、最終的に腸管に到達します。そこで産卵を行い、幼虫が糞と一緒に排出され感染が広がります。症状としては軽い場合は特に症状がなかったり、腹部に関する症状が見られたりします。治療には駆虫薬が使用されます。
ここからはアライグマ糞線虫の話になります。アライグマへのアライグマ糞線虫の感染は、和歌山県で確認されています。また、神奈川県三浦半島での調査では、アライグマ糞線虫や人に感染しうる可能性のある種類未確定の糞線虫が確認されています。
※参考文献
三根 恵、松本 淳、加藤卓也、羽山伸一、野上貞雄 (2010) 「神奈川県三浦半島に生息するアライグマの消化管内寄生蠕虫相に関する研究」・平田哲生、 座覇 修、 金城福則、 斎藤 厚 (2001) 「糞線虫の生態と病態を探る(化 学と生物Vol. 39, No. 8より)」
その他の感染症
「アライグマ防除の手引きに」は記載がないものの、危険度で言えば0ではないものが沢山あります。サルモネラ菌などの食中毒から、疥癬などの皮膚病に関わるもの、ノミ・ダニや小さな線虫などの寄生虫に関わるものと様々です。このように人畜共通感染症・人獣共通感染症と呼ばれる様々な病気は、アライグマに関わらず野生動物なら持っていると考えて良いでしょう。
アライグマに限らず野生動物へに触ることは避け、駆除や狩猟やけがをした動物の保護をする場合は、事前に十分な対策を行うことが必要となります。
狂犬病・アライグマ回虫症・SFTSについては、以下の記事をご覧ください。
危険な病気を持ってる?ーアライグマ危険な感染症編
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