外来種はどうやってやって来るのか?

人が連れてきてその地域に根付いた生き物を外来生物と言っていますが、やって来る方法は様々です。今回はそこにスポットを当ててみたいと思います。

意図する時もしない時もある

・何かに付着してやってきた
・家畜や農作物として持ってきた
・持ってきた動物が何等かの理由で逃げ出した
・故郷や海外の生物をただ見たいから
・外来種にくっ付いて別の外来種が来た

簡単に説明すると以上のようなパターンがあると思います。


何かに付着してやってきた

事故的に持ち込まれたパターンです。このようなパターンで多いのは、植物の種、昆虫や小動物のような小型の生物、菌やウィルスのような目に見えない生き物です。

皆さんもご存じの通り植物の種はだいたい小さいものです。そして服にくっ付きやすいものもあります。なので、衣服や荷物にくっ付いたものが運ばれ、別の地域に根付くことがあります。羊毛が盛んなヨーロッパでは、羊毛に付着して生息地を広げた植物もあるとされています。

昆虫や小動物の場合は、荷物に自ら潜り込んで来て意図せず運ばれます。身近な生き物で言えばネズミです。船の荷物に紛れ、古くから世界中に広がっていきました。また、最近だと毒アリ騒ぎを起こしたヒアリも、コンテナに紛れ分布を今も広げています。変わり種だとヘビが、ちょうどよい暗がりを求めて飛行機や船に紛れたりします。

外来種とは少し違いますが菌やウィルスの場合、物に付着していてたり密航してきた動物に感染した状態で運ばれてきます。

家畜や農作物として持ってきた

人が生きるために食べ物や作業用として持ってきたパターンです。

羊、豚、牛、山羊などは放牧することで比較的簡単に食べ物や毛を得ることが出来、馬は交通網が発達するまでは移動手段として重宝されてきました。そのため世界中で古代から現在まで飼育されてきました。必ずしも囲いがしっかりしている場所ばかり放牧されていたわけではないので、逃げる個体もいます。また、人間が何らかの理由で放牧していたところから撤退するしかなくなり、家畜だけが取り残されることもあります。そうした動物たちが野生化し、外来生物となります。日本だと小笠原諸島の山羊などがあります。

余談ですが現在純粋な野生のウマは居ないと言われています。家畜化した馬が野生化したものだけが存在するのみです。

食料として野に放つ場合もあります。日本では魚でこのパターンが多く見られます。ソウギョ、ライギョ、ハクレン、コクレンなど戦前の食料事情がまだ良くなかった時代に、中国などで食べられる魚が放たれ定着しています。皆さんの食卓に並ぶのを見たことがないことから分かるように、日本人には馴染みませんでした。

持ってきた動物が何等かの理由で逃げ出した

養殖用や動物園で飼っていたもの、ペットが逃げ出したりして定着したのがこのパターンです。

大きくて赤い不気味な卵を産むジャンボタニシもこのパターンで、養殖しようとしたものが逃げ出したと言われています。哺乳類だとヌートリアやマスクラットにミンクは、毛皮用でした。また、逃げ出したミンクは、カワウソ騒動の原因とも言われています。那須でカワウソらしき生き物が居たと話題になりましたが、調査した結果アメリカミンクが確認されています。

動物園やペットで逃げ出したものとして、千葉県のキョンは有名です。房総半島にあった行川アイランドという廃園になったテーマパークから逃げ出したものが、いまや千葉全体へ広がっています。いずれ県を越えて増えて行くと思われます。

またまた余談ですが行川アイランドは元々軍事施設跡地に建っていたり、廃園後も駅だけ行川アイランド駅として残って居たり、リゾート施設勝浦シーサイドパークとして復活の計画があったり、中々面白い歴史のある場所です。

故郷や海外の生物をただ見たいから

身近な例で言えば園芸植物がこれにあたります。世界中の色んな植物を人が楽しむために持ち込んでいますし、当然それが自然に定着することもあります。

20世紀前半に、ヨーロッパやアメリカで海外の鳥を見たいという理由で放鳥が積極的に行われました。大半はその地に根付くことなく消えていきましたが、一部は地域に定着していきました。

ヨーロッパの人々が外の世界に積極的に出て行った時代、新天地に渡った人々は故郷を恋しく思い故郷の動物を放ちました。これで有名なのはオーストラリアのウサギです。故郷を思い出せると同時に食べ物として最適ということで一石二鳥を狙ったのですが、砂漠化の原因になってしまいました。

外来種にくっ付いて別の外来種が来た

最初の何かに付着して来たに似た例ですが、外来種にくっついて別の外来種が来ることもあります。

例えば寄生虫は、宿主になる外来種にくっついてやってきていると考えられます。寄生自体がある生物に特化していることが多いので、その動物自体に付着しないと生きてくることが難しいからです。そして、基本的にはくっ付いてきた外来種だけに寄生するので問題はないのですが、他の在来の生き物に突然くっ付くことが無いと言えないのも厄介なところです。

こうして色々な生き物が世界中へ拡散していきました。

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