ハクビシンーアライグマと愉快?な仲間たち編

身近な動物でアライグマとも混同されやすい動物の一つとして、ハクビシンの生態や特徴を紹介します。

夜の忍者ハクビシン

ハクビシンはジャコウネコ科の中型動物です。大きさとしては尻尾が長く感覚的にはネコよりは一回りは大きいですが、体重は3~4kg程度と軽いです。ただ5kgを超える個体もいます。日本では関西より東の本州と四国で多く見られ、北海道や九州にはいません。海外では東南アジアに広く生息しています。

上野動物園のハクビシン
ハクビシン
(上野動物園)
特徴を簡単に上げると以下のようになりますが、一つづつ見ていきましょう。

・夜行性
・木登りが得意
・果物大好き
・外来種?
・都会に進出中
・屋根裏もお家に


※参考文献
農林水産省 「野生鳥獣被害防止マニュアル -ハクビシン-」

夜に本領発揮

アライグマ、タヌキ、アナグマなどの例に漏れず夜行性です。なので近くに住んでいても目にする機会は少ないと思います。

動物園でも結構見ることが出来ますが、だいたい寝ています。同じ夜行性でもアライグマは割と起きていたり、タヌキもたまには動いてたりするのを見ますが、私はハクビシンが起きていたのを殆どみたことはありません。

観察用巣箱に反応するハクビシン
観察用巣箱に反応するハクビシン
私が観察に使っているトレイルカメラでも昼間は写ったことはないので、地域によっては比較的昼に動く場合もあるとは思いますが、基本的には夜しか動きません。

では光が苦手なのかというとそんなことはなく、光の照射実験で無視したことが報告されています。

※参考文献
豊田英人・江口祐輔・古谷益朗 ・植竹勝治・田中智夫 「光の照射はハクビシンに対して忌避効果があるのか」

忍者のごとく電線を疾走

非常に木登りが得意な動物で、多摩動物公園の飼育員さんの開解説によるとピアノ線ぐらいの細さでも平気と言っていました。体重があまり重くないのもあってか、最近では電線を移動する姿を目撃されることもあるそうです。

果物が大好き

雑食の動物ではあるのですが、特に果物が好きです。その他には樹上性に近い生態のため、鳥類も多く食べているともされています。ただ、ザリガニなども食べたりするようで、他の雑食の動物同様に柔軟性はあります。地域や時期によっても変動もあるはずです。

この果物好きが非常に厄介で、農家の果物への被害を大きくしています。木登りが得意なため、生半可な対策だと簡単に突破されてしまいます。

対策としては木登りが得意なアライグマと似たような方法となり、合わせて対策することも可能です。埼玉県農林総合研究センターがハクビシン用の対策装置の作り方が載っているので、被害に困っている方はぜひ参考にするとよいと思います。「白落くん」で調べてみてください。

※参考文献
小南優 (2016) 「都市的環境における中型食肉目2種の生息地的利用特性」

台湾から来た?

元々日本に居たと思われていたハクビシンですが、どうやら日本に居るのは台湾原産のようです。

江戸時代には多少日本に居たようですが、本格的に日本に移入されたのは戦時の頃のようです。タヌキの毛皮が非常に重宝されていたのですが、需要に対し供給が追いつきませんでした。その代替としてハクビシンが輸入されたが、上手くいかず放たれた話が残っています。そして最近の遺伝子解析技術で台湾に居るハクビシンと一致したため、台湾から来た可能性が高いとされています。

ただ、断定は出来ないため「外来生物らしい」という状態に、留まっています。

※参考文献
中村一恵、石原龍雄、坂本堅五、山口佳秀 (1989) 「神奈川自然誌資料 神奈川県におけるハクビシンの生息状況と同種の日本における由来について」・増田降一 (2011) 「ハクビシンの多様性科学 (日本哺乳類学会 2010年度大会自由集会記録)」

電線も道に 都会へ進出中

電線を伝って移動するなど、都市環境にも適用しやすいため都心への進出が確認されています。都内にも生息する様子がテレビで放映されたり、私が受けたアライグマの捕獲従事者の講習では、埼玉の繁華街でも見られると聞きました。着実に都心へと進出しているようです。

これは樹上性という特性が大きいのだと思います。ひと昔前にクマネズミがニュースをにぎわせましたが、クマネズミも樹上性で湿地に住むドブネズミより高層化している街並みに対応し易かったと言われています。それと同じようなことなのだと思います。

屋根裏に住み着き困ったことに…

元々巣を自分で作るようなタイプではないようで、そこで目を付けたものの一つが人家です。アライグマ同様に家の隙間から入り込み、屋根裏を巣にしてしまうことがあります。しかも家の中で粗相をすることもあり、天井に染みが出来るまで汚損することがあります。しかも、アライグマよりも物音がしにくいそうで、気づくのも難しいそうです。

対策としては兎に角入り込める隙間を作らないことです。わずかな隙間からアライグマ・ハクビシン・イタチ・コウモリなどが入り込んでしまうことがあるので、家屋に隙間を見つけたら板やアルミネットで絶対にふさいでください。

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