アライグマとタヌキの違いって?ーアライグマと愉快?な仲間たち編

  遠目で見ると同じように見えても近くで見ると結構違うアライグマとホンドタヌキの違いについて、かみね動物園で撮影した実際の個体の写真と比較して紹介します。比較はホンドタヌキですが、エゾタヌキでも特徴は概ね同じです。


タヌキは犬の仲間!アライグマはアライグマ!

かみね動物園のホンドタヌキ
どちらでしょうか?
それぞれがどんな動物の仲間かで見ると違いが見えてきます。タヌキはイヌ科なので、基本的には体の特徴が馴染みある犬に似ています。一方でアライグマはアライグマ科で、イヌ科のタヌキと比べると随分変わっている印象を持つことが出来ると思います。

ですが気になる人が多いであろう見た目の特徴を先に紹介し、次に体の特徴から違いを見ていきたいと思います。

注意して頂きたいのは、アライグマもタヌキも冬毛の写真です。夏になるとどちらも毛が短くなり印象が変わります。特にタヌキはだいぶ痩せて見えて印象が変わるので、見慣れない人は別の生き物に見えるかもしれないので、注意が必要です。

顔や体の模様は似ているけど少し違う

見慣れてくれば全然違うと感じるのですが、暗がりであったりぱっと見では両者はかなり似ています。あとで解説しますが私としては見た目より全速力での走り方の違いのほうが、よっぽど分かりやすい気がします。

・鼻筋→アライグマ黒・タヌキ白
・耳のふち→アライグマ白・タヌキ黒
・ヒゲ→アライグマ白・タヌキ黒
・足→アライグマ白・タヌキ黒
・尻尾→アライグマ縞々・タヌキ白っぽい

主な違いは上げた5点ですが、ざっくり言うとタヌキのほうが黒っぽい傾向にはあります。ただ、毛色はアライグマもタヌキも個体によってばらつきがあり、暗がりだと分かりにくいので難しいところです。

ホンドタヌキの顔(かみね動物園)
ホンドタヌキ
アライグマもタヌキも目の周りが黒く縁どられていますが、タヌキは鼻筋が白くなっているのが比較的大きな特徴です。ただこれも、日の当たり具合や個体によって色の見え方が違うので、暗がりだと見分けるのは難しいと思います。

ホンドタヌキの顔(かみね動物園)
ホンドタヌキ
この写真は上の写真と同じ個体のタヌキです。光や角度の違いで鼻筋の色がだいぶ違って見えるのが分かると思います。

アライグマ(かみね動物園)
アライグマ
次に細かい点としてはアライグマの耳のふちとヒゲは白く、タヌキは黒いというのもあります。こちらはさっきよりも更に細かい違いなので、見慣れない人にとっては決定打にはならないと思います。

アライグマのシマシマの尻尾(かみね動物園)
アライグマの尻尾
これは非常に分かりやすく、アライグマの尻尾はシマシマです。アライグマに似たサイズの動物はタヌキの他に、ハクビシン・キツネ・アナグマなどが居ますがシマシマはアライグマだけです。なので、尻尾のシマシマは決定打になる要素の一つです。

ホンドタヌキの尻尾(かみね動物園)
ホンドタヌキの尻尾
タヌキの尻尾は模様がありません。毛の先が黒っぽいので黒く縁どったように見えますが、全体の印象としては白っぽい見た目です。

ニホンアナグマの尻尾(かみね動物園)
ニホンアナグマの尻尾
明るいところであれば尻尾だけでもタヌキと見分けが付くと思いますが、暗がりだとニホンアナグマも似たように見える尻尾しているので、判断は難しいかもしれまんせん。

ニホンアナグマ(かみね動物園)
ニホンアナグマ
ちなみにアナグマの全体像としてはこんな感じです。毛の色合いなんかはタヌキに似て見える場合もあるとおもうのですが、こちらはイタチの仲間なので形としては異なっています。

夏毛のホンドタヌキ(かみね動物園)
夏毛のホンドタヌキ
そして最後にこちらが夏毛のホンドタヌキです。夕方の写真なので少し黒っぽくなっていますが、色は冬毛とあまり変わりません。一番違うのは毛の量による顔付きで、かなりシャープになって見えますし、実際にはこれ以上にシャープな顔つきに見えることもあります。

アライグマも夏は毛は減りますがタヌキほどの印象の変化はありません。

それぞれの特徴が出る足

次に手足の特徴を紹介します。イヌの仲間で地上を歩くことが得意なタヌキと、木登りや手先が器用なアライグマでは全く手足が異なります。

手や体の構造から速く走る時にも違いが現れ、タヌキはイヌのように背中を大きく曲げることはありませんが、アライグマは尺取り虫のように大きく背中を曲げます。このアライグマ独特の走り方は非常に特徴的なので、暗がりでも見分ける時の判断材料になります。

ホンドタヌキの後ろ脚(かみね動物園)
ホンドタヌキの後ろ脚
タヌキの足ですが、分かりやすく言えば犬の足です。写真はタヌキの前足でですが、肉球やツメがしまえないなど(逆にネコ科の殆どが爪をしまえます)完全に犬と同じです。なので地面を歩くのが得意な構造で、木登りなどには向いていません。歩き方もかかとが高い位置にあるので、趾行(しこう)性とよばれるかかとを付けいない歩き方です。

しかし、犬を飼ったことがある方は感じると思いますが、頑張ってジャンプしたりよじ登ったりで意外と障害物を越えたりできます。それはタヌキも一緒で網目上のフェンスをよじ登ったり低木であればよじ登ったりと、何も登れないというわけではないのに注意が必要です。

アライグマの手足(かみね動物園)
アライグマの手足
アライグマの手足はイヌとはまったく違い、人と似た手足をしています。手は人と同じようはっきりした五本指があり、手がぷにぷにではあるものの肉球のようなものはありません。足も人のような形をしています。

手が人のような形をしている上にツメがしっかりしているので、非常に木登りが得意です。鉄のような相当ツルツルの素材でない限り、どんなものでも簡単に登ってしまいます。アライグマの本来の生息地のアメリカでは、ビルの屋上まで壁を伝って自力で上ってニュースになったこともあります。

後ろ脚も人の形のようになっているためしっかりかかとを地面に付けて歩くことできます。この歩き方を蹠行(しょこう・せきこう)性と呼び、人やクマもこの歩き方です。

指がしっかり分かれているので非常に器用に物をつかめるのも特徴で、食べ物をつかんで食べることが出来ます。

休む時の姿勢も違ってくる

アライグマもタヌキももちろん同じような姿勢で休むこともありますが、違った姿勢もとります。

休むホンドタヌキ(かみね動物園)
休むホンドタヌキ
タヌキはイヌ科なのでイヌと似たような姿勢で休みます。足を横に出して丸まって休んだりします。

壁にもたれて休むアライグマ(かみね動物園)
壁にもたれて休むアライグマ
アライグマも体を丸めて休んだりもしますが、人のように壁にもたれかかって休んだりもします。

これは体の構造と巣穴の構造によるのだと私は思います。タヌキはアナグマやキツネが地面に掘った他人の巣穴で眠ります。一方アライグマは他の動物の地中の巣を使うこともありますが、木に空いた穴を巣にします。そのため縦長の巣にも適応しているのだと思います。

そして木に空いた穴のような本来高いところも巣にする習性が、人家への侵入などの問題を引きこ起こしています。

エサは鼻を使ってどちらも探すがアライグマは手も使う

鼻で探るホンドタヌキ(かみね動物園)
鼻で探るホンドタヌキ
私の印象ですがタヌキもアライグマも鼻を使ってものを探しますが、タヌキは鼻中心でアライグマは手も使うというイメージです。

水の中を手で探るアライグマ
水の中を手で探るアライグマ
アライグマのほうが手を使うのは手先が器用というのもありますが、水中の生き物も餌にするので鼻が使えないので手が重要というのがあると思います。

食べ物はある程度似ている

アライグマとタヌキどちらも雑食で、植物の木の実や昆虫に小動物とある程度似たものを食べていると考えられます。動物園では似たような食事を与えている場合もあります。

どちらの動物もその時・場所で食べられるものを柔軟に選んで食べているので、地域や季節で一番食べるものは変動していると考えられます。

そして、アライグマは手足が優れているために木に登って果物を食べたり、水中の生き物を手探りで食べることが出来ます。そのために農産物でも高価なものが多い果物の被害が出ることで、農業被害額を大きくする要因にもなっています。ただ、こういった被害は雑食で食べやすいものを柔軟に選ぶ性質上、地域によって差があるのも注意が必要な点です。

動物園での写真を中心にアライグマとタヌキの違いを紹介してました。似てるところも多いですが、よく見ると結構違うのが分かって頂けたら幸いです。

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